早稲田大学文学学術院長、副総長を歴任され、現在早稲田佐賀中学校・高等学校の理事長でもある土田健次郎教授が、”特に幼少期から学生に向けて、人生において特に重要になる言葉”を五十選び、書き下し文、現代語訳をつけた、数ある論語書籍の中でも最高峰と言える一冊。子供にとって意味や内容が理解しやすいよう、掲載順序も再編。素読を繰り返すことで、「徳」や「仁」といった概念やその本質が正しく身についていきます。
素読とは、漢文の古典を声をあげて読むことです。古典の内容は子どもにとっては簡単ではなく、意味がわからない場合も多いのですが、それでもかまいません。大事なのは姿勢を正して声を出して読み、それを体にしみこませることなのです。そのようにしておけば、成長とともにその意味がおのずからわかっていくのです。(中略)
そもそも豊かな経験と深い省察にささえられた古典の言葉を子供のうちに完全に理解することなどは不可能なことです。子供に最初から無理に理解することを求めるのではなく、まずその言葉自体を身にしみこませることが大事です。
耳から聞いてすぐにわからせることだけではなく、当人の内面であたためさせ熟成させていくことも、教育には必要なのです。
ただ書物なら何でも覚え込ませる価値があるわけではありません。
そのようにする意義を持っていることを歴史が証明してきた書物こそが、『論語』のような古典なのです。書店にいけば、成功者や作家が誇らしげに人生訓を語る書物があふれています。しかしそのうちいったい何冊が後世まで読み継がれるでしょうか。それに対して『論語』が人々に励ましや救いをあたえてきた時間の長さは、悠久といってもよいほどです。今の子供たちが一生覚えている価値は十分にあるのです。
『論語』のような古典として生き残った書物は、内容も豊かですが、文章としても深い味わいがあります。ですので素読は、道徳教育であるとともに、国語教育でもあるのです。<本書[解説]より抜粋>
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●スタッフコメント●
論語の中で特に重要で意味がわかりやすい言葉を選出、解釈に差が生じやすい現代語訳は、よりわかりやすく最も普通の解釈にされています。 |